文部科学省 私立大学学術研究高度化推進事業
学術フロンティア推進事業「日亜・日欧比較演劇総合研究プロジェクト」 G14 役者絵の総合的分析研究  主催講演会
 
役者絵とその周辺
日時:2008年1月12日(土)14:00〜16:00
会場:早稲田大学西早稲田キャンパス6号館318教室(レクチャールーム)
※入場無料・予約不要
講演:柳桜亭 江戸廼花也の正体―大名の狂歌遊び
講師:津田眞弓氏


文政期から天保期前半に初代歌川豊国・歌川国貞・渓斎英泉・歌川国芳など当時人気の絵師を擁した狂歌摺物を多く残し、一群の人々を率いた柳桜亭花也という人物がいる。狂歌堂真顔の弟子で、本名は毛利斉元(なりもと、1794−1836)、長州藩主であった。

 彼の摺物は海外でも注目を集めているが、摺物研究ではその正体が不明のまま扱われている。また狂歌が戯れ故に藩の正史から除外され記録や作品が殆ど残っていないこと、美しい作品が多く海外流出していることが災いし、日本史研究の場では花也の業績が全く認知されていない。
 江戸文化の側面を象徴するような花也の活動は絵画・文学・歴史研究に有益な考察材料を供することだろう。現在残された断片を集めて花也の事跡を紹介したい。
講演:役者絵にみる『仮名手本忠臣蔵』の変容
講師:小池章太郎氏


日本文化史中に『仮名手本忠臣蔵』の占める位置ははかり知れぬほど大きい。各代の名優たちが演じた役々を役者絵で辿ると、そこには演出・演技が大きく変容しつつ、近代において固定化した歌舞伎の軌跡を窺うことができないか。また同じ時代浄瑠璃劇でありながら、『義経千本桜』『菅原伝授手習鑑』等に比して、なぜこのように大きな改変がなされてきたのか。演劇博物館架蔵品を鑑賞し、その視点から考えてみたい。