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1998-2002年度活動報告
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義太夫節正本研究会
●研究組織 (※所属・資格は2002年4月1日現在)
所属 資格 氏名 本研究における研究分担
代表 早稲田大学文学部 教授 内山美樹子 総括・浄瑠璃作品の翻刻
分担 早稲田大学
明治大学
大東文化大学

東京学芸大学
日本学術振興会
玉川大学
国立劇場
早稲田大学大学院
桐朋学園大学
国立文楽劇場

早稲田大学
名誉教授
講師
助教授

助教授
特別研究員
助教授
主査
博士課程
講師


助教授
鳥越文蔵
飯島 満
池山 晃
川口節子
黒石陽子
神津武男
坂本清恵
桜井 弘
田草川みずき
東 晴美
渕田裕介
山之内英明
和田 修
翻刻凡例の作成。浄瑠璃翻刻の全体点検
浄瑠璃作品の翻刻。入力凡例の作成
浄瑠璃作品の翻刻
浄瑠璃作品の翻刻
浄瑠璃作品の翻刻。入力凡例の作成。調整
浄瑠璃作品の翻刻。調査、データ作成
浄瑠璃作品の翻刻。国語学的検討
浄瑠璃作品の翻刻
浄瑠璃作品の翻刻
浄瑠璃作品の翻刻。データ作成方針検討
浄瑠璃作品の翻刻
浄瑠璃作品の翻刻
浄瑠璃作品の翻刻

●研究内容(テーマ)
現在未翻刻の義太夫節浄瑠璃作品を網羅的に翻刻活字化し、芸能・文学・国語学の研究者等、及び芸能の実践者等に提供することを目的としている。特にこれまで未翻刻のため、あるいは手に入りにくいために読みにくかった作品群を容易に読める環境づくりをめざしている。正本の翻刻にあたり、全国レベルでの正本の諸本調査を行い、底本とすべき底本、及び翻刻の際に必要となる副本を選定する。これについては研究分担者神津武男氏の調査及び研究成果をもとに進めている。その上で翻刻を行うが、電子入力によるテキストデータとしても活用できるようにするため、入力に必要な翻刻方法を具体的な翻刻作業を進めながら行い、入力凡例を構築している。特に漢字、浄瑠璃に特有の文字譜の問題が困難な問題であり、具体的な事例を一つ一つ研究会において検討している。

●研究実施状況の概要
本年度は昨年度に引き続き、正本の諸本調査と収集による底本と副本の準備を実施した。その一方で演劇博物館研究室にて7回ほどの研究会を行い、それぞれの翻刻作業にもとづいて、問題点について検討をかさね、具体的な事例についての研究を積み重ねた。これによって凡例の充実と構築に努めた。
また新たな会員を迎え、研究進展のための体制を強固することができた。研究会の実際については以下の通りである。
4月27日に本年度第1回の研究会を行った。平成13年12月に規準として作成した入力凡例(ワープロ作業・文字譜処理原則・漢字処理原則)に基づき、それぞれの研究分担者の作業上、疑問に思われた事例を提出して検討した。また公開の方針についての意見交換を行った。
5月25日に第2回の研究会を行った。前回と同様各自の翻刻上の問題点を出し、具体的に検討した。特に文字譜の位置の判断について検討した。また公開の方法についての話し合いを行った。本研究会では浄瑠璃を読みやすい形で多くの読者に提供することを目的としている。そのため印刷物としての可能性を模索している。しかし時代の趨勢の中でどのような形にすべきか、現実的な問題としてどのような方法が最も実際的であるかについて検討している。
7月13日に第3回の研究会を行った。前回と同様翻刻上の問題点を検討した。漢字処理の問題、文字譜の問題について検討した。公開の方法についての検討の結果、当面次の通りの方針で活動することとした。現段階では入力凡例の完成に向けての研究の継続と、翻刻作業の進展が第一であり、完成作品を一つでも多くすることが第一である。したがって、これまでの翻刻作業のやり方を若干手直ししてより迅速に作業が進むよう検討することとした。
9月21日に第4回の研究会を行った。翻刻上の問題点を検討した。9月の段階でこれまでに翻刻作業を進めてきたもののうち第1次翻刻の段階から第5次翻刻まで終了したものが5作品提出された。
10月19日に第5回研究会を行った。前回と同様翻刻上の問題点を検討した。新会員として田草川みずき氏が入会され、1作品の担当をお願いした。平成15年2月末頃に提出する予定の学術フロンティア日本・アジア演劇芸能共同研究」に提出の報告書の内容について検討した。
11月30日に第6回研究会を行った。前回と同様翻刻上の問題点を検討した。平成15年3月8日、第7回研究会を行った。翻刻上の問題点を引き続き検討した。文字譜の位置の判断について、疑問点が出され、規準の凡例に基づき、検討した。
以上本年度の研究成果は、研究会全体としては入力凡例に基づいた具体的検討が進み、昨年度に比べてかなり翻刻方針が明確になってきたことがあげられる。その成果を受けて翻刻作業も昨年に比べると早くなり、5作品は完成に近い形のものができあがった。さらに諸本調査の成果の一端は論文としてまとめられ、公開された。これまで未発見であったものが紹介されたことの意義は大きい。また翻刻本文の公開の方針についてはまだ模索中であるが、次年度以降翻刻作業の進行にあわせて具体的な形を取るよう進めて行くことを考えている。

●研究成果の発表
内山美樹子
「「小篠」以前―能「正儀世守」と元曲「蝴蝶夢」」国語と国文学 79巻4号 平成14年4月p1〜p16
「竹本政大夫・豊竹若大夫」国文学 47巻6号 平成14年5月 p122〜p124
「浄瑠璃再発見(五)―松王の疎外感」国立劇場第139回文楽プログラム 平成14年5月p24〜p25
「浄瑠璃再発見(六)―「神霊矢口渡」復活上演のころ」国立劇場第140回文楽プログラム平成14年9月 p22〜p23
「浄瑠璃再発見(七)―六・七段目の作者」国立劇場第141回文楽プログラム 平成14年12月p14〜p15
「中国戯曲から「生写朝顔話」への流れと周縁」「朝顔日記」の演劇史的研究 平成15年1月p6〜p22
「二十世紀中・後期(一九五七〜九五)の文楽「生写朝顔話」」「朝顔日記」の演劇史的研究 平成15年1月 p192〜p233
「浄瑠璃再発見(八)―近松生誕三五〇年目の文楽」国立劇場第142回文楽プログラム 平成15年2月 p22〜p23
「狭夜衣鴛鴦剣翅」の上演 21世紀COE演劇研究センター紀要
「十世豊竹若大夫、晩年の奏演をめぐって」21世紀COE演劇研究センター紀要
黒石陽子
「『双蝶蝶曲輪日記』六段目「橋本」冒頭描写の意味―「けいせい浅間嶽」の活用と坂田藤十郎―」東京学芸大学紀要第二部門54集 平成15年2月 p311〜p320
神津武男
「浄瑠璃本『増・補/生写朝顔話』の成立とその時代―山田案山子と近松狂言堂、文楽翁の浄瑠璃制作―」「朝顔日記」の演劇史的研究 平成15年1月 p78〜p133
「竹本摂津大掾旧蔵人形浄瑠璃番付集について―成立と伝来、及び細目の紹介」国文学研究資料館紀要 第29号 平成15年2月 p189〜p275
「『奥州安達原』第三ノ切「袖萩祭文の段」原行本文の成立に関する研究」演劇映像 44号 平成15年3月 p1〜p17
「新出浄瑠璃本『和泉式部軒端梅』の紹介と翻刻―その他、明和前期の江戸人形浄瑠璃新出資料の紹介―」沼津市博物館紀要 平成15年3月 p1〜p27
「浄瑠璃本の刊行日―刊と、初演興行初日との前後関係について―」21世紀COE演劇研究センター紀要
坂本清恵
「近代語の発音―謡曲伝承音との関係―」国語と国文学 79巻11号 平成14年11月 p11〜p24
田草川みずき
「宇治加賀掾の「色」について―謡曲の「色」からの影響を中心に―」楽劇学 第10号 平成15年3月 p19〜p39



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