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海外演劇資料収集保存公開プロジェクト |
●研究組織 (※所属・資格は2002年4月1日現在)
所属 |
資格 |
氏名 |
本研究における研究分担 |
代表 |
早稲田大学演劇博物館 |
研究員 |
八木雅子 |
欧米言語系資料 |
分担 |
早稲田大学演劇博物館
早稲田大学演劇博物館
広島経済大学 |
助手
助手
専任講師 |
間瀬幸江
南 聲鎬
平林宣和 |
欧米言語系資料
ハングル語系資料
中国語系資料 |
●研究内容(テーマ)
当プロジェクトは、日本において過去・現在・未来の演劇シーンに何らかの影響を与えている海外演劇を国内外で共有される演劇知としてこれを蓄え、また次代へと伝えていくために、そうした海外演劇の上演資料をいかに収集・保存・公開するのかを検討・研究し、またその資料を継続的かつ効果的に活用するために必要な運用システムの基礎を構築することを目的として2年間の活動を行った。具体的には、収集・公開・研究のアプローチの一つとしての企画展の開催であり、また上演資料に関するデータベースの構築・整備・推進である。
●研究実施状況の概要
本年度は、前年度の活動を踏まえ、海外上演資料のデータベース化の推進に取り組んだ。また2001年度に開催した企画展について、
『太陽劇団とオリエント ?東洋への視線 Theatre du Soleil ?Regard sur l'Asie(縮刷記録版)』を完成させた。
これは、写真資料や記事資料といった二次資料を中心とする展示という特徴を最大限に生かして、展示目録とは異なる展示記録となっている。
海外上演資料のデータベース化については、上記展示会による新規収集資料をふくめ、これまでに当館で収集された上演資料を念頭におきながら、先行する「現代演劇資料収集・保存・公開プロジェクト」によって作成されたデータベースの仕様その他を参照し、非日本語言語での図書以外の非図書上演資料について、地域ごとの上演資料の特性とともにデータベース上で多言語を共有させる上での問題点などをふくめ、言語別(中国語、ハングル、その他欧米言語全般)に構築されてきた既存のデータベースや整理方法を見直し、さらに相互関連可能なものにすることを目標に、検討を加えた。具体的には最も進展していた欧米言語上演資料のデータベース化である。整理作業の基本データベースとなる劇場・劇団データベース(上演主体情報データベース)と資料の種別切りわけを再検討し、現在継続して収集されている劇団・劇場発行の劇場ニュースやスケジュール等の資料整理整理とデータベース整備の優先させることで、散在する各種資料を整理する土台を作ることとした。これは、海外上演資料の所蔵収集状況が散発的にならざるを得ないこと、またプログラム等作品ごとの資料状況が国ごと、時代ごとに相違があるためである。しかし基本的には劇場・劇団データベースを基盤ツールとして、ポスター・チラシの整理を行い、基本的には時代を遡る形でデータベース化を進めいくように検討している。 今年度までに基本的な枠組みを作り上げ、入力済みデータの見直しと新規データ採取といった実際の資料整理での調整を加える段階に入った。同時に、日本語上演資料との上演主体IDの共有(とそれによるデータ共有)についてもメドがたった。ついで、すでに公開されているWeb上での情報とのリンクなど、検討項目を広げている。また、韓国語・中国語資料については、上記の成果を踏まえてデータ仕様のすりあわせの段階に入った。このほかにも、当プロジェクトによって、それまで資料種別ごとに個別に行われていた作業全体を俯瞰し、相互に連関する方向性が模索されたことは、大きな進展であったと言える。 上演資料のデータベース化については、日本にかぎらず多くの機関・施設において検討されているが簡単な作業ではない。多用な非図書資料を抱えているこののほか、言語・時代・地域のそれぞれ異なる資料をあわせて将来的に有機的に活用させるためのものとなると一層困難になるだろう。欧米言語内でのデータフォーマットの共有は一部ですでに計られており、今後はそれらも検討の視野にいれていく必要があるが、たとえばWeb上での多言語使用がしばしば困難なように、データベース共有には技術上の問題も残されているだろう。また、上演資の研究そのものが今後の成果に期待するところも大きく、試行錯誤である点はいなめない。しかし、数年前に比べれば現在、状況はいずれも大きく進展している。こうした状況の中、実務レベルでの進展は経費上の問題もあってなかなか難しいが、当プロジェクトもゆっくりとした歩みではあったが確実に成果をあげてこれたといえるだろう。
●研究成果の発表
八木雅子「海外演劇資料収集保存公開プロジェクト活動報告」2003年4月
『太陽劇団とオリエント −東洋への視線 Theatre du Soleil −Regard sur l'Asie (縮刷記録版)』早稲田大学演劇博物館 海外上演資料収集公開プロジェクト、2003年3月、総52ページ
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