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演劇資料保存研究プロジェクト |
●研究組織 (※所属・資格は2002年4月1日現在)
所属 |
資格 |
氏名 |
本研究における研究分担 |
代表 |
早稲田大学文学部 |
助教授 |
和田 修 |
研究の統括 |
分担 |
早稲田大学演劇博物館
早稲田大学演劇博物館
早稲田大学演劇博物館
早稲田大学演劇博物館 |
研究員
嘱託職員
研究員
助手 |
渡部和子
永井美和子
松澤正樹
寺田詩麻 |
保存技術の指導
保存技術の調査・実施
資料保存に関する文献の調査
保存資料の調査、作業の記録 |
●研究内容(テーマ)
当館所蔵の演劇資料は、形状及び伝存状態が多岐にわたるため、多様な保存方法が求められる上、もともと演劇の現場で使用されたものが多く、その特徴を生かした保存が必要となる。本プロジェクトでは、資料の扱い方や保存方法を学びながら、画像資料などとも組み合わせ、保存と閲覧・展示の有機的関連を目指す。従来の学術研究では、資料そのものの研究や保存は図書館・博物館の領域とされてきたが、その両者に関わる者の立場から、今後の活用を視野に入れた資料の保存方法を確立することを目的とする。
●研究実施状況の概要
上記にも記したが、当館で所蔵されている資料は演劇という区分だけで、何も規定は無い。更に1938年(昭和3)の開館当初から、資料収集の方法は寄贈が大きな位置を占めている。むろん多くの方々のご好意や、歴代館員の努力によって世界的なコレクションは形成されている。しかし、結果的に開館75周年を迎える今日では、演劇と名のついたありとあらゆる物品が非常に大量に集積する結果となり、流石に収蔵庫・書庫ともに狭隘を極め出納し難い状況になりつつあった。 そこで本研究会としては、第一段階として館内の各資料担当者と相談して、まず全ての資料のデータベース化を行い、それと並行して以前は「〜コレクション」として資料を内容によってまとめて収蔵していたものを、形態や素材等で分けて収蔵するという方法をとった。この方法により、以前よりも庫内の省スペース化がはかられ出納にも支障を来たさなくなった。次に、経年劣化で傷みの激しいもの、素材的に他の資料と同一空間に置きにくいものを、どう収蔵してゆくかという問題があった。
演劇資料には、布や皮革・竹など変質しやすく他の物と一緒に置いて置けない素材が使用されているものが少なくない。そこで、第二段階として脱酸素パックという個別空間するという方法を採用した。これは食品などに広く用いられているエージレス剤と、特殊なフィルム素材を使用して資料を個別に包装するやり方で考古学の分野ではかなり以前から普及している。これにより個々の資料に個別空間を作成してやる事が出来るようになったため、収蔵に際しての負担が軽減された。さらに第三段階としては、劣化によって情報が失われる危険性のある資料の媒体変換作業推進を行った。貴重書や軸装物、プログラム等の紙資料の保存・修復作業は以前から行われていたが、形態的に扱いにくいガラスネガなどは、手がつけられない状態だった。しかし、近年の技術革新のおかげで、ガラスネガの画像をデジタルデータ-に変換できるようになったので、当館所蔵の築地小劇場等の初期新劇資料3000枚をデジタルデータ-化し、ガラスネガ自体もより安全で長期保存に耐えるような収納形態をとった。これは近日中に何らかの形で、情報公開してゆく予定である。以上のように本会の活動の結果、資料の保存と活用においてかなり有効な手段と効果を得ることが出来たと思われる。
●研究成果の発表
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